売上や利益を増加させるには?
前回までの調査で、きゅうり、トマト、ピーマンから始めることは無謀ではなさそうだが、さりとて、初心者が、簡単に1a(アール)当たり20万や30万の売上が上がるほど甘くあるまい、ということは容易に予想できます。そのあたり、具体的な栽培方法に関しては別途、学習することにして、今回は、売上を高める方針に関して、検討してみたいと思います。
年間売上=単価×収穫量ですので、価格戦略も必要かとは思いますが、まずは、収穫量を高める方針に関して、考えてみます。
年間収穫量=作付面積 × 1回の収穫期における単位面積当たりの収穫量 × 年間収穫回数
結局、年間収穫量を上げるには、①作付面積を増やすか、②一回当たりの収穫量を増やすか、③多期作(多回転とするか)のいずれかであるということです。
①作付面積を増やすには、当然、新たに耕作地を買うか、借りるかすればいいわけですし、②一回あたりの収穫量を増やすには、簡単には多段組みなどをして野菜を上に伸ばしたりすればいいでしょう。品種改良、土壌改良もあるでしょうし、肥料によっても、日々の世話の手間を増やすことによっても増えるかと思います。③多期作は、もっとも一般的なものは温室などの施設栽培の実現でしょう。最近は植物工場における水耕栽培などで10期作を超えるものも珍しくないようです。
では、新規就農を考える場合は、大きな土地で、多段で多期作を始めれば「負けがない」のでしょうか?そうであれば、莫大な資金を調達し、巨大な土地に、多段の温室を作成すればいいわけです。実際、植物工場はそのような方向へ走っている気がします。しかし、実際は植物工場は、ある程度品種が決まった葉物野菜が中心で、根菜、果菜はさほど栽培していないようです。
莫大な資本を効率的に回収するには、上記の③の回転数を増やす必要がありますが、これがやはり、葉物はかなり高められるからかと思われます。根菜、果菜も植物工場で行われる水耕栽培でも収穫できるのですが、資本効率のため、まずはいったん敬遠されているといったところでしょうか?
少なくとも、根菜、果菜に関しては、資本集約型でなくとも勝負できる状況が今しばらくは続くだろうと考えます。
では、一般的な事業投資の範囲(数百万から数千万くらい)では、収穫量を上げるには、土地を広げたほうがいいのか、一回あたりの収穫量をあげたらいいのか、多回転にしたらいいのでしょうか?
このような問題は、収穫逓減、収穫逓増の問題として考えられます。一般に農作物は、さほど費用をかけなくとも何らかの収穫、つまり、利益が得られる。そこに土壌改良や肥料を投入することによって収穫量は増大していくが、その費用の増加率に関して、収穫量の増加率は逓減していくとされています。これが、工業製品など作れば作るほど単位当たりの生産費用が低下し、収穫逓減となる工業品と異なるとされているのですが、ここでは、個人事業の範囲内で考えてみたいと思います。
土地の増加のための費用支出は?
土地が二倍になると収穫は二倍になります。買い増す土地の価格や追加の労働量が同じとすれば、費用の増加率と収穫量の増加率は同じなので、収穫逓減でも逓増でもない、収穫一定といえます。
一回の収穫量の増加のための費用支出は?
多段など高さ方向に伸ばしたり、土壌改良、品種改良などにより、さほどの初期投資がなく1回の収穫量を増加させることがでると思われますが、その収穫量の増加は、比較的早く限界となるのではないか、と想定されます。
つまり、ある収穫量までは、この費用支出による単位量当たりの生産コストの増加分は価格を下回る(=利益率が増加する)が、あるところからは価格を上回り(利益は増えるが)利益率を低下させてしまう可能性があります。これは、上のグラフでは、収穫逓減の状況であり、グラフの傾きがもっとも緩やかなところが利益が最大となる販売量となります。
回転の増加のための費用支出は?
回転数を増加させるには、当初から温室や水耕栽培などの大きな設備が必要となり固定費が増加するため、少ない収穫量では費用が売り上げを上回る赤字となってしまいます。
しかし、植物工場の例からは、植物が生物学的に許容できる範囲まではかなりの促成栽培が可能であることから(もちろん、種別にもよりますが)、収穫量が増加するにつれ、生産コストの増加率がどんどん低下する収穫逓増の状況を生むものと想定されます。(回転数が上がれば上がるほど、一回あたりの栽培費用が下がる)
となれば・・・植物工場を建てるだけの資本力がない、個人事業において収穫量を増加させるには、
①まず、一回の収穫量の増加を目標に、また、利益率が最大となるポイント(多段数、肥料の量、労務費用など)を探し、
②次に、多回転を実現する温室などの設備を検討し、固定費が改修できるレベルであることはもとより、収穫逓増の効果が十分に享受できる栽培方法を実現できるか、チェックする
必要があるといえます。
そのうえで、
③資金に余力があれば、さらなる土地の拡大を検討する
という順番が合理的であるのではないでしょうか?
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