農業を知るにはどうすればいい?
前回までで、農業を、「ビジネス」という側面からとらえてみました。きゅうり、トマトなどの施設栽培でも10aあたりの売上がよくても40万円程度ですので、1ha当たりでも400万円、ここから様々な設備経費や農薬などの材料費がかかるわけですので、ここまでの第一印象としては「楽に儲かる」とはとても思えませんね。実際には、補助金などの「雑収入」があるのでしょうが、ただ、これでは、サラリーマンであれば大卒数年目の給与ともなりますので、なるほど、就農者が減少することもある意味、納得できます。
しかし、実際に様々な会社や(農業以外ですが)ビジネスを経験してきて、どのようなビジネスであっても「濡れ手に粟はない」し、「工夫する余地はいくらでもある」わけで、要は、農業でも事業継続できる、つまり、来年も(無理なく)今年と同じように事業ができる状況が続けることができるのであれば、そのうち、違う芽が出る可能性もあるはずです。ということで、まず、自分の手取りが生活できる程度にそれなりに残って、事業継続できるイメージができるところまで行けるかが、次のステップと考えます。
前回では、売上を上げるには、多期作など回転と、多段組などが必要という結論に至ったのですが、では、どのような作物でも、それは可能なのでしょうか?さて、ここにきて初めて、そのためには、作物という生物の属性や、栽培技術やその制約条件などを、まったく知らないことを強く認識しました。かといって、50歳の初老のおっさんが、今更、農業高校に入ることもできないし、ということで、その方法を検討してみました。
- 農業学校などに通う
ネットで検索すると、いくつか社会人向けに講座を開いている学校が全国にありました。しかし、その内容をみると、経営や経理に関する講座が栽培に関する講座と同程度の数があるところが多く、栽培を重点的に教わりたい、という私のニーズとは異なるようでした。ただ、週末に開催される栽培実習は魅力でしたが。 - 都道府県の新規就農センターに相談する
新規就農センターの中には新規就農アカデミーを開講しているところもありましたが、全日制であったりするので、社会人をやりながらでは難しいようでした。一方で、農業法人などへのインターン制度も多数あり、こちらは魅力的でしたが、座学に関しては期待できないように思われました。私のこれまでの新規ビジネスや未経験分野へのチャレンジは、まず、座学で知識を掴んでから実務、というパターンでしたので、そのあたりが少し不安になりました。
(ただ、そのインターン制度に関して詳しく調査する過程で、このインターンは、単に就農のための知識を得る以外にも重要な役割があることがわかりましたので、それは後述します。) - 農業に関する検定をうける
いろいろと調査するうちに、農業検定と農業技術検定という検定制度があることを知りました。このうち、農業技術検定は、「農業を学ぶ学生や農業に従事したい方に対して農業についての知識・技能の水準を客観的に評価し、教育研修の効果を高めること」を目的としているらしく、JAの営農指導員や農業関連企業などでも利用されているとのことでした。日商簿記などと異なり、参考書なども限られているようですが、3級テキストを入手してみましたところ、まさに、自分の知りたい、作物の特性や栽培技術が書かれておりましたので、まず、ここから農業に入ろう!と思いました。
農業の強力且つ不可欠な冶具としての施設、IT、AI
現代における農業において、農業機械、農業施設の重要性は、未だ農業をよく知らない私がみても明らかです。事業として成り立つレベルの広さの耕地の耕起にはトラクタが必要でしょうし、また、露地栽培だけでは多回転に限度があり、収益の拡大は望めないからです。また、直近は、そこにさらに、ITやAIによるスマート農業が入ってきています。
2019年現在、農業に限らず、ITやAIによるスマート化はいささか話題が先行している、と私は感じております。有効なのは間違いないのですが、ITやAIが、どのような業務に対しても、また、どのような状況においても有効であるとは思えません。
例えば、スマート工場は、葉物野菜を、大きな設備内で水耕栽培による綿密な温度・湿度・栄養管理のもと、10期作をはるかに凌駕する多回転を実現し、大きな収益を上げています。しかし、そのための設備投資は莫大なものがあります。しかし、この技術は、たかだか1千万円規模の投資しかできない個人農業家が実現できるでしょうか?そういう意味では、スマート工場の技術は、個人農家にとっては有効ではない、と言えます。では、そのうち、個人農家はすべてスマート工場にとって代わられるのでしょうか?それはないでしょうね。FCによる外食産業が出てきて50年たち一定の割合を確保しましたが、個人のお店も、ずっとあります。付加価値をつけるレストランと素材である農産物の生産は違う、という話もありましょうが、農産物だって、付加価値の高い品種を常に開発しています。
話が少し飛んでしまいましたが、ITやAIがあれば、農業は楽になる、収量が上がる、などは、まだまだ、「ITやAIの使い方によっては楽になることがある、収量があがることがある」というレベルだと思います。しかし!ビジネスとは、鼻先だけでも、競合に勝てばいいのです。このITやAIによって、わずかでも「楽になったり」「収量があがったり」する条件、範囲を見つけることができれば、自分の武器となるはずです。
幸い、PythonやTensorFlowなどの言語、ライブラリ、RasbellyPyeなどの安価なITハードウェアの登場によって、個人農家でも、簡単にITやAIを試せる時代となりました。やはり、新しい武器はこの辺りで探したほうがよさそうだな、と思っております。
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