管理業務を渡り歩く男のブログ

Management-works Blog Site

転職前に考えること その5)転職のリスク

今回は、転職前に考えることの最終回として、転職のリスクについて、いくつか記したいと思います。もっとも、転職のリスクはありすぎて、書ききれるものではありません。そこで、数回以上、転職をした管理人が、もっとも伝えたいリスクを3つ記します。

プロパー社員プレミアムは存在する

転職サイトには様々な経験談や転職成功談が記載されています。それは決して嘘ではないと思いますが、当然ながら転職者全員がそうであるわけではありません。もしそうなら、全ての人間が転職をすることになるでしょうし、さらに言えば、企業は新卒を採用する合理性もなくなるからです。しかし、企業は厳然と新卒採用を続け、さらには、最近はむしろ、新卒採用の時期を早めてでも、その確保に躍起になっていることから、新卒を採用する意味があることがわかります。

プロパー社員プレミアムとは、新卒で入った人間は中途入社で採用した人間よりも下駄をはかせてもらえる、という意味です。

比較的歴史のある日本企業では、課長、部長など管理職的なレベルでの中途入社では、プロパー社員に比べ給与が高い場合が多いのですが、それゆえ、通常の給与規則から外れることになり、部長”待遇”、役員”待遇”という通常のコーポレートラダー(出世階段)にはないポジションである場合もまだまだよく見受けられます。この場合でも、採用する側は、「中途入社にも公平な会社です」というでしょうし、事実、給料も高いのですから差別されているとも言えません。ただ、転職者が役員や社長になれるような企業は、そのような企業では、まだまだほんの一部です。

中途入社は、まだまだ、プロ野球で言えば、さしずめ、外国人助っ人の位置づけです。4番も打たせてもらえます。むしろ期待されます。しかし、首脳陣やフロントに残ることは、期待されても望まれてもいない場合が多いのです。なお、この傾向は、(社外取締役以外の)役員が自社出身者のみで占められている場合などに、さらに強まる可能性があります。

私自身は、転職により様々な企業や様々な業務の経験を得たことにより使える経営戦略の引き出しは格段に増えたと思っておりますので、「プロパーから首脳陣」という日本企業の傾向も徐々に変わってくるかと思いますが、まだまだ、プロパー社員プレミアムがあることを、転職する場合によく認識しておくべきです。

裏を返せば、もしあなたが最初の転職であれば、このプレミアムを捨てることになるわけですので、それ相応の得るもの(=夢を実現する5要素の何か)が見えていないと転職すべきではありません。

 

従業員10名未満の小さな会社は「逃げ場がなくなる」リスクが高い

低金利で投資資金などのリスクマネーにカネが集まっている2018年のような状況ではベンチャー企業でも資金調達が容易となったため、このブログをご覧になるような方の中にも、従業員が10名以下の小さな会社でオフィスが一部屋しかないようなところへの転職を検討されている方がおられると思います。

このような会社では、社長や創業時のメンバー(概ね社員番号5番以内)の仲間意識や権力が強く、万一、そこと反りが合わない場合は、100名以上いるような会社に比べると、精神的にも物理的にも行き場所がなくなってしまうリスクがあります。例えば、実際に小さなオフィスでは、トイレに行くことも目立ちますし、もしかすると、それさえも社長の許可が必要かもしれません。

資金調達が容易になったことは結構なことですが、ビジネスで成功する前に大金を持った社長が、そのおカネで次々に人を採用できるから、マウンティングやパワハラを実施している例は枚挙に暇がありません。

小さな会社への転職で「自分も創業メンバーに」と思っていても、基本的に社員番号が二ケタでは株式の配分もないか、あっても少ないでしょうし、ストックオプションも、一般の従業員と比べてもさほど大差ない場合が多いことも、IPOの企業状況などをみるとわかります。

小さな会社への転職は、本当に創業時か、社長の夢を心から信じ前回に描いた「自分の夢の実現」を捨ててでも、或いは、それより優先して社長の夢の実現を望めない限り、非常にリスクが高い、と言えます。

リスクが高いということは、転職によって得られるもの(検討の5要素)がはっきりと確実である必要があるということです。小さな会社では、上記のリスクの代わりに、情報やコネを得やすいポジション(タイトル)での採用であったり、裁量が大きく様々な経験を短期間で得られたり、という利点もあります。逆に、それがなければリスクを引き受ける意味がない、とも言えます。

 

同業他社など今と同じような会社への転職は、今と同じような状況に陥り転職を繰り返すリスクが高い

「隣の芝生は青い」とはよく言ったもので、特に同業他社などに関しては、わずかな差が大きな利点となって見えるものです。

このわずかな差を得るために転職し、プロパー社員プレミアムをみすみす手放す方が如何に多いか、と感じることがあります。

新聞記事などで他社がでると「他社はすごい」と思いがちですが、実際には、ほとんどの記事は、その関係者が考えるほど深い知識や視点で記載されているわけではありません。

例えば、社内の「意思決定の遅さ」などを嘆いても、日本企業であれば、オーナー企業でもない限り、さほど変わりません。その程度のものです。

転職は、自分の現在の技量を見られるわけですが、実は、今のあなたを最もよく知っており評価してくれるのは、今の会社です。転職先の会社は、(転職する際にあなたの顧客をすべて持っていけるわけではないのですから)あなたの今の価値をいったん割り引いて評価し、その上に、あなたに新たな期待(プレミアム)を載せて、あなたを買うわけです。

あなたの今の価値を買ってくれる同業他社より、あなたの将来価値のほうに高い値をつけてくれる会社のほうが、今と同じ状況に陥るリスクが少ないのではないでしょうか?

同業他社への転職を繰り返す業界に経営コンサルティング会社があります。この業界では、転職者は、「転職先に今の顧客をもっていく(もちろん、転職時書面で制限はされますが、事実上、その制約は難しいものがあります)」、つまり自分の今の価値を最大限利用します。しかし、転職先でもすぐ同じ状況になり、次の会社へ、となる人が多いように思われます。

 

 

 

 

 

 

Comments are closed.