転職前に考えること その1)からその3)までを使って、まず、転職によって生涯賃金がどの程度変化するのかをみてきました。これは、転職によって得たいものが「おカネ」であるか否かに関わらず、その「得たいもの」を得るための”取得コスト”を客観的に認識し、冷静な判断をすることが目的でした。
今回はそれを踏まえたうえで、転職で得られるものを整理するフレームワークを記していきたいと思います
転職の経済性(Economy)、効果(Effectiveness)、効率(Efficiency)を考えよう
自分の夢を実現する5つの要素を整理しよう
転職をする、しないに関わらず、誰でも下の図のように、自分の人生に夢があるかと思います。人生という限られた時間の中で夢を実現するには、それがどんな夢であれ、5つの要素が必要ではないかと考えます。
- 座学
あなたの「夢」の実現に、何らかの資格が必要であれば、その取得のために知識の学習が必要になります。もし資格が不要な夢であっても、ビジネスであれば最低限の簿記、会計、税金の知識が必要でしょうし、お店をだすのであれば商品に関する知識が必要になるでしょう。
座学には、ある程度の落ち着いた「時間」が必ず必要です。 - 経験
企業買収によって新規事業に参入する場合でもない限り、全く初心者の分野に参入して夢を実現することは困難です。夢の実現に必要な経験を得るには、自分自身が参加できる「機会」が必要です。 - 情報
座学と経験があっても、世の中は常に変わります。顧客も、仕入先も、競合他社も、規制も。また、インターネットで情報を得やすい時代にはなりましたが、その情報ソースはどんどん変化しています。メール、ホームページ、SNSなどなど。鮮度と信頼性の高い情報を継続的に得続ける「環境に身を置く」ことが必要です - コネ
夢の実現にはカネやヒトが必要でしょう。その協力者であったり、お客様の一人でも紹介してくれる方であったり、自分を宣伝したり応援したりしてくれるヒトも皆、夢の実現には不可欠です。ただ、よいヒトは、よい知識や経験、情報を持っているところに集まります。逆に、ただ知人であるという”コネ”だけで知識や経験や情報を集めようとしても、長続きしません。なぜなら、その知人は、協力しても何も得られませんから。コネを得るには、それまでの自分の努力が問われます。 - 運
「運も実力のうち」、確かに、夢の実現には、タイミングに恵まれる必要があります。ただ、運を確率と考えると、運を得るには、「時間(的な余裕)」が必要ということになります。
また、一般人の人生は、一部のオリンピック選手などのように夢に向かってまっしぐら、全てのおカネと時間をそこにつぎ込む、というわけにはいかないのではないでしょうか?
生活費はかかりますし、家族との時間も必要でしょう。人生の夢とは、それらの制約も踏まえながら、実現していくものであると私は考えます。
(脇目もふらずに全てを捨てて夢の実現にかけることも、それができる環境であれば、それが良いのですが)
転職を考えるにあたって、自分の将来の夢と5つの要素を、おカネと時間の制約を踏まえて考えてみましょう。
例えば、以下のような感じでしょうか。
- 夢
「人材派遣事業を立ち上げる」 - 座学
人材派遣業の許可申請に必要な派遣元責任者講習の受講やその理解
派遣候補者の確保のために必要なホームページ作成などのIT知識
人材派遣業における競合状況や派遣のターゲットする業務プロセスに関する知識
派遣者雇用に関する労務知識や勤怠、給与管理の知識
継続的に企業を運用するための経営知識 - 経験
ヒトの採用に関する経験
契約締結に関する経験
営業経験
自社を差別化するための各種施策の立案と実行経験 - 情報
派遣候補者を効率的に得られる人材データベースへの安価なアクセス
派遣先候補の情報を得られる同業他社とのネットワーク - コネ
継続的に派遣候補者、派遣先候補を紹介してくれる可能性の高い知人 - 運
半年は紹介者ゼロでも倒産せずに済む自己資金
一方、夢が「役員になる」であれば全然違った感じになるはずです。夢には正解はありません。その夢への5要素が見えているかどうかが、重要となります。
5つの要素を得るための転職の3つのE(Economy, Effectiveness, Efficiency)
夢を実現する5要素が見えてくれば、転職の検討とは、「その転職が5要素の獲得にどう影響するか?」を検討することである、と言い換えることができます。
- Economy(経済性)
転職によって生涯賃金がどの程度変化するかは、既にこのページで検討しましたが、この賃金の変化が、上記の5要素を得るために必要なコストであり、転職の経済性そのものです。
生涯賃金があがり(=コストがかからないどころか、収益を得られ)、上記の5要素を得られるのであれば理想的です。しかし、一般的には、給与が増加する場合は、実質的に拘束される時間が長くなり、夢の実現に必要な座学に費やす時間が無くなってしまう場合も多いと思われます。 - Effectiveness(効果)
転職をすることによって5要素の何かが得られるなら、それは「転職する効果がある」と言えます。例えば、給与は下がるが時間が増えて、座学や情報を得るための時間を確保できるのであれば、それは立派な効果です。もっとも、給与が下がることが、生活費の確保という制約に触れてしまう場合もありますが。 - Efficiency(効率)
一般的には、転職をしなくとも5要素を得る方法は何かしらあるはずです。しかし、同じ期間でも少しでも多くの要素を得られるとすれば、「その転職は効率的である」と言えます。経営管理の経験は、一般の企業であれば、管理職にならねば得られませんが、経営コンサルティング会社ではより早くから経験できるでしょう。それは効率的である、といえます。もっとも、経営コンサルティング会社では、経理や人事労務などの実務経験は得られません。その転職の効果や効率は、あくまで自分の「夢」があって判断できるものと言えます。
如何でしょうか?転職を検討される際には、「夢」「夢を実現する5要素」「転職の3つのE」を検討されることをお薦めします。

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