「経営」とは企業価値増加を目的として判断し続けること
当サイトのメインテーマは「経営管理の実践」なのですが、経営管理は、企業の「経営」に貢献することを前提としています。では、「経営」とは一体何をすることなのでしょうか?
このページの概要
社長の仕事は「雑談」と「決断」

「経営」に最も携わるのは、言わずもがな、社長です。私も、経営企画部などで幾人かの社長の近くで仕事をしておりました。その中のおひとりがよくおっしゃっていた言葉が、この「社長の仕事は雑談と決断」でした。
社長の仕事は多岐にわたります。トップ営業もあるでしょうし、資金の確保に銀行や取引先と奔走されることもあるでし
ょう。ただ、営業や資金調達といった業務は、十分な経営資源があれば(=よい人が他にいれば)、その方に任せることができます。
しかし、「どんなによい人がそばにいても社長にしかできないこと」、これが、「雑談」と「決断」ではないでしょうか?
もし、社長以外の人間が「雑談」をしていれば、上司に注意されるでしょうし、他の従業員もそもそも「雑談」に応じてはくれないでしょう。ところが、社長が「雑談」をしかければ、従業員は喜び、仕事の手を止めてでも対応します。ゴマすり?いやいや、社長に、直接、現場の状況、問題点、他社の状況などをそれとなく社長に伝えることができるチャンスと思うからです。
雑談の相手は社内とは限りません。既存顧客、潜在顧客、取引先、銀行、時には競合他社の社長もあるでしょう。社長は、様々な思惑が錯綜する会話の中で、ニーズや市場トレンドをつかむわけですが、会社の全権を持つ社長だからこそ話せる、また、訊(き)けることが多々あるようです。
このように社長の「雑談」は、社長にしかできない、強力な情報収集ツールなのです。
そして、社長は、この「雑談」で得た情報を自分の中で昇華し、「決断」を導出します。
くだした「決断」が正しかったか否かは判断する時にはわかりません。未来を完全に予測することは不可能である以上、「いつでも必ず正しい経営判断を行う」ことは不可能です。
不可能であることを自覚し「自分のくだす判断が誤っているかもしれない」という強いプレッシャー(=自問自答)の末に“決断”する「ミッションインポッシブル」な業務、これが社長業かと思います。
経営とは経営判断をし続けること
会社の中には、常にいろいろなところで判断しなければならない出来事が発生しています。何か一つ大きな決断をしたら終わり、ということはありません。
結局、経営とは、
経営=企業価値の増加を目指して、経営判断をし続けること
と言うことではないのでしょうか?
会社が進むべきは右か左か、(何かを)実行したほうがよいのか・しないほうがよいのか、などを決め続けること、これこそが、経営という”業務”そのものと考えます。
重要な経営判断とは何か

経営判断、社長が決断すべき内容は、物品の購入判断からM&Aなどの大きな決断まで多岐にわたっていますが、私は、特に、以下の二つを重要な経営判断と考えています。
- 企業の進むべき方向に関する判断
- 社内の経営資源を適正に配置・再配置することに関する判断
なぜこの二つの判断が重要なのでしょうか?
企業を、「自社内のヒト・モノ・カネといった経営資源をある特定の市場分野に投入し、利益を生み出す大きな仕組み」と考えますと、「どの事業ドメインに(経営資源を)投入するのか?」、「どれだけの経営資源を投入するのか」によって、得られる利益は非常に大きく影響を受けます。
競合がひしめく成長性のない市場ではなかなか取り分を得られないでしょうし、大きく成長している市場に対し乏しい経営資源で対応していると、やはり同じように顧客を取りこぼしてしまうでしょう。
また、成長性のある市場といっても永続的に成長するわけではありませんし、競合他社も参入してきます。このような経営環境の変化により、企業内の様々な業務は下図のような変遷をたどり、そこに投入される経営資源の効率(資産回転率などといったカネやモノの効率のみならず、生産性といったヒトの効率も含みます)も徐々に低下していきます。
このため、経営資源の効率を確保するためには、常に経営資源を再配置し続けることが不可欠となります。
このような理由により、上記の二つの判断は、最も重要な経営判断と考えられます。
次の記事では、そのような重要な経営判断の一例を記します。
関連ページ
- 重要な経営判断の一例
- 本記事では、企業の進むべき方向や、投入すべき経営資源(ヒト・モノ・カネ)量などを決める重要な経営判断の一例を示します。
