重要な経営判断の一例
本記事では、重要な経営判断の一例を示します。
経営判断は経営者により様々で何が正解ということもないのですが、以下は一般的な手法としてよく紹介される方法です。
このページの概要
企業の進むべき方向を決めるには?
事業ドメインの定義を明確にします
ターゲットとする「顧客」と「ニーズ」、提供する「商品・サービス」の3つの軸から事業ドメインを明確にします。但し、このドメインは今後のステップで柔軟に変更しながら、自社にとって最適な事業ドメインを抽出していきます。
事業ドメインの顧客や市場の特性を把握します
著名なマイケル・ポーター教授の5フォーシズ分析などにより、既存顧客や潜在顧客を把握し、市場の成長性を推定したり、競合他社や代替品の動向を探ったり、サプライヤーの状況を調査を実施することで、当該事業ドメインの経営環境を理解します。
事業ドメインにおけるKSF(Key Success Factor、事業の成功要因)を検討します
自社のSWOT分析(強み、弱みなどの分析)や自社のこれまでの経験やコンピテンスなどから、自社の弱みを克服し継続的に利益を創出するための、「製品サービスの差別化を図る」「空白地帯に出店する」「大量に安価に仕入れる」などといった事業のKSFを検討します。
投入する経営資源量を決めるには?
事業の仕組み(=ビジネスモデル)を構築します
具体的に、どのような商品・サービスを、どこから仕入れて(或いは、どのように製造して)、どのようにターゲット顧客に営業して、どのようなチャネルで販売するのか、また、この一連のプロセスの中で、検討したKSFを具体的にどのような手法で実現するのか、といった「仕組み」を構築します。
事業の収益構造を明確にします
上記で作成した具体的な事業の仕組みをもとに、事業の将来の各月(或いは、各四半期、各年)ごとの損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書を予測します。
「収益構造」は、これらの財務諸表の各勘定科目間の連係に現れます。「収益構造を明確にする」ことは、この財務諸表間の連係を予測し、モデル化し、シミュレートできるようにすることを意味します。
例えば、売上高の増加を想定する場合、収益構造を予測することは
- 貸借対照表の売掛金や在庫はどの程度増加するのか
- 損益計算書上の仕入れや、それによる買掛金はどの程度増加するのか
- 売掛金や買掛金の変化によって運転資金はどう変化するか
- 運転資金の変化に伴い新規に借入は必要ないのか
- そもそも売上高の増加のためには営業員の増加などによる販管費の増加や、生産設備の増強などによる資本的支出はどの程度か
といった項目に関して、売上の変動に応じた変化の割合をモデル化することを意味します。
各種経営指標を予測します
企業の収益性の根本はROE(=営業利益/株主資本)であり、それを構成する以下の各指標です。
営業利益/株主資本=営業利益/売上高 × 売上高/総資産 × 総資産/株主資本
=売上高利益率 × 総資産回転率 × 財務レバレッジ
前ステップで作成した収益構造に基づき、この指標の将来の推移を予測します。
経営資源の一つであるヒトを投入すれば、売上高は上がるでしょうが、人件費が増加するため営業利益に影響します。設備などのモノを投入すれば総資産が増加するため(売上高も増えるでしょうが)総資産回転率に影響がでます。
経営資源を投入すれば、目標とするROEが達成できるか否かを踏まえ、投下する経営資源量を判断します。
もし、作業に余裕があるなら、以下の指標も考慮します。
- 生産性指標
投下する資金、固定資産、従業員数に対する付加価値(生産台数などでも可)
- 成長性指標
売上高成長率、利益成長率、自己資本成長率、総資産成長率など
- 財務安全性指標
流動比率、固定比率、固定長期適合率、自己資本比率など
経営とは、「会社の進むべき方向と投入するヒト・モノ・カネの量を決める一連の経営判断」でした。
では、次に、経営管理に話題を移したいと思います。
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- 経営とは判断し続けること
- 本記事では、経営業務の本質は経営判断し続けることであることを記しております