資金の借入の具体的な施策

資金の借入の具体的な施策

どのような資金の調達を考えるのか?

非常に基本的な話で恐縮ですが、資金調達は以下のように考えます。

  • スタートアップ時、新規事業開始時など

    将来、従前にたてた計画通りに事が進まない可能性が高い、言い換えれば、現在、会社が実施している事業に比べリスクの高い事業のための資金は外部投資家のリスクマネーを取り込む。
    なお、彼らはリスクに応じた高いリターンを求めるため、融資ではなく、出資の形を好む。

  • 一次的な運転資金不足や売上拡充のための設備投資など

    比較的計画通りに事が運びそうな場合には、銀行借り入れなど低利の資金調達を行う。

 

上記は、非常に一般的な事柄ですが、私は、

  • 一時的に利益低下しただけの部門をスピンオフするために投資ファンドを呼び入れ、結果的に高い値で買い戻すことになった
  • 事業モデルが古くなり構造的に赤字となったため、抜本的な資本施策を実施しなければいけない状況なのに銀行融資で賄おうとして、結果的に融資を断られ続けた

という経験もしました。
このように、実際の経営の現場では、自身の事業のリスクを正しく把握できていないことにより、資金調達の方針を間違えている場合が数多く発生していますので、改めてご注意いただければと思います。

 

融資をうけるために

シードステージ、アーリーステージなどにあるスタートアップ企業においては、まずは、ベンチャーキャピタルや篤志家などからの株式発行による資金調達がないと先に進めません。一方で、ある程度の事業が回っている中小企業、中堅企業においては、一時の運転資金不足や、売上拡充のための設備投資のための資金を銀行など金融機関から融資によって補うことが一般的ではないでしょうか?

 

そこで、本項目では、融資が必要となった場合に、しっかりと融資をうけるための具体的な施策を紹介します。

 

銀行から見た融資の視点

私は銀行での業務経験はありませんが、複数の銀行との交渉において、彼らは例外なく

 

「貸したおカネが滞りなく返済されるか」

 

を第一に考えており(当たり前ですが)、そのために

 

  • 過去、将来一年間程度の財務数値という定量評価
  • 経営者の考え方、業界の状況、営業基盤などといった定性評価

 

を実施します。また、財務数値の将来見込みに関して、十分な裏付けがない場合は、

 

  • 一定の審査期間における見込み数値の実現度合い(=実績値が見込みとどの程度一致したか?)

 

も、チェックされます。

 

これらをもとに、銀行側は、借り手(債務者)を 正常先、要注意先、破綻懸念先、実質破綻先、破綻先などに分類します。なお、新規に借り入れる場合には、正常先でない限り、難しいと思ったほうがよいと思います。

 

融資のための審査資料

融資をうけるために銀行に提出する資料は、状況により多少の差異はありますが、

 

  • 直近の決算書、当該月までの残高試算表などの実績
  • 事業計画と財務数値見込み

 

が、最も重要であることは間違いありません。以下、それぞれに関して、留意点を記します。

 

直近の決算書、当該月までの実績

各年度の決算書が正しく作成されていることは当然ですが、銀行との交渉では以下のような指摘を受けます。これらは、いざ融資を申し込もうとした際にすぐに実現できるものではありません。普段からしっかりした経理体制を整備しておく必要があります。

 

  • 直近の月次決算をタイムリーに把握していますか?

    (直近の数値を銀行に提出できるか?)

  • 年度決算とそう遠くない形で月次決算を実施していますか?

    (在庫⇒原価が正しく反映できているか、など)

  • 昨年度同月比が示せますか?

    (販管費、原価の区分変更などがあった場合、前期修正がなされているか?など)

  • 予実比較が示せますか?

    (合理的な方法で予算が作成されているか、予実のズレがあった場合も合理的な手法により要因分析されているか?など)

 

事業計画と見込み

事業計画や将来の見込みは銀行に「絵に描いた餅」と判断されないよう、以下のような点に留意すべきです。

 

  • 会社のビジネスモデルが明確、簡潔に示されているか?

    (どのような顧客ターゲットや顧客ニーズに対し、どのような商品やサービスで挑むのか?、その商品やサービスを継続的に提供し続ける経営資源をどのように確保するのか?など)

  • 会社のコストモデルが明確、簡潔に示されているか?

    (売上の変動に対して、利益はどの程度変化するのか?など)

 

上記を明確にすることにより、売上が予想と異なった場合(いわゆるダウンサイド、アップサイド)の財務予測が一貫して作成できます。
なお、銀行には、最も保守的なダウンサイドを提示すべきですが(銀行の融資審査の目的が貸したカネを返してもらえるか、である以上当然のことですが)、もし企業の業績が直近の年度で赤字決算であった場合は、二期連続赤字となる計画は、絶対に避けましょう

 

二期連続赤字であれば、赤字が一過性ではなく、構造的な問題を抱えている企業と判断されます。言い換えれば、二期連続赤字であるならば、運転資金の短期借入ではなく、より抜本的な対策を講じる必要がある、というメッセージを、市場から言い渡されたものと強く認識すべきです。

 

なお、ビジネスモデル、コストモデルの具体的な作成方法に関しては、企業内の業務を改善するには(5、財務シミュレーション)にて記していますので、そちらもご参照ください。

 

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