ヒトの確保

ヒトの確保

ヒトの確保の流れ

何らかの経営判断を実施するために、さらなる「能力」や「労役」の拡充が不可欠となった場合、ヒトを調達(社内外から採用)する必要があります。そのステップは以下の通りです。

 

① 調達するヒトの要件を明確にする

社外から採用する場合はもちろん、社内から採用する場合であってもヒトを採用するということは、そのヒトの一生に影響を及ぼす大変に責任のあることです。事前に熟慮することなく、人柄や能力、経歴だけでヒトを採用すれば、入社後に要件の不一致に気づき、そのヒトの人生設計を大きく狂わせてしまう可能性があります。

 

ヒトの採用において、最も重要なことは、採用する側・採用される側の要件の一致 です。採用候補者と、要件の一致を確認するためには、まず、採用する側が、その要件を明確にしておく必要があります。私は、以下のような資料を事前に準備し、文書のやり取りや面談時において、採用候補者と互いに要件を確認できるようにしております。

 

  • 求人概要

    こちらは、人材登録会社が独自のフォーマットを持っている場合が多いようですが、主な項目としては、
    - 求人職種
    - 組織構成と役割・権限
    - 募集背景
    - 応募資格
    - 給与・賞与・諸手当
    - 勤務地・勤務時間
    - 福利厚生
    などです。
    このうち、特に”職種”に関して、できる限り具体的な業務内容を記すとともに、”組織構成と役割・権限”において、どのような権限を与えるのか、も明確にしておきましょう。

     

    よく、「(地位の)高いポジションだからいろいろとやってもらいたい」という会社があります。しかし、それで入社してみると、何人の部下を任せられるか、人事権はあるか、となると「そうでもない」場合も多いわけです。これは、そのまま「要件の不一致」となってしまいます。

     

    なお、この求人概要は、直接、候補者に提示されますし、紙面の制約もありますから、簡潔に記す必要があります。以下にその例を示します。

     

    職種)
    経営企画職。CEOの経営判断を迅速に遂行するため、社内、社外との様々なプロジェクトを立上げ、そのプロジェクトマネジャーとしてプロジェクトの進捗を管理する。(年間平均で10本程度。過去には、”原価見える化プロジェクト”、”アジア地域での売上拡大プロジェクト”など)
    月に二回、経営企画部会議にて、その進捗を報告するとともに、過去に実施したプロジェクトの結果に関して対策を検討する。

     

    組織と役割)
    経営企画部 課長職。経営企画部は3つの課で構成されており、経営企画部への業務報告義務がある。なお、プロジェクトメンバーの採用、選好に関する直接的な人事権はないが、その意向は経営企画部長により尊重される。

     

    募集の背景)
    業績好調による新規事業投資において、社外から新しい考え方を導入することを念頭にしている。弊社の雰囲気を尊重しつつも、そこに新しい息吹を与えてくれる人材を期待している。

     

  • 業務フロー或いは業務記述書

    会社の公的文書でなくともよいので、採用者に期待する業務の全体の流れがわかる業務フロー図や簡単な業務記述書があれば、面談の際に説明しやすくなり、また、候補者においても、具体的な業務の理解の手助けとなります。
    詳細なフローがあればベストですが、候補者に説明できる程度のものがあれば十分です。

 

② 社内、社外からの募集人員を決定する

①で明確にした要件をもとに、社内、或いは、社外から募集する人員を決定します。採用した場合は、当然ながら固定費として、財務諸表に影響を及ぼします。一方で、ある程度の労務を確保しなければ成立しない戦略もあるでしょう。財務シミュレーションにより十分に吟味した上で、採用人数を決定します。

 

③ 人材登録会社を十分に利用する

社外から募集する場合は、人材登録会社を利用することが一般的になってきました。しかし、人材登録会社は、それぞれ利用する求職者データベースが異なっていたり、また、担当者により、こちらの業務や候補者の能力に対する理解が異なっていたりするため、それらを意識していないと、いくら良い要件定義を作成しても、効率的にターゲット候補者にアクセスできません。

 

そこで、このような人材登録会社管理表を作成し、継続的に、その紹介者のマッチング度合いをチェックすることで、当該登録会社が付き合うに値するか否かを評価することも大切です。候補者データのデータベース化が進んだ現在では、人材登録会社というよりは、登録会社の担当の能力が良い採用に強く相関しているように感じます。

 

また、人材登録会社と普段から情報交換することで、今、市場ではどのような人材が”お買い得”なのか、把握できます。ヒトも経営資源ですから、要件を満たす人材の中から、安価に採用できれば、資産効率が増加します。
私の経験では、日本の採用市場は”流行り”に流されるところがあるのか、かつては、銀行経験者、コンサル経験者が、その実務能力に関係なく高価で取引された時期もありましたし、17年末では、実務能力よりも、若手というだけで需要があるように思われます。
これらは、その裏に人材登録会社の戦略によるところもたぶんにあるようですが、違った視点からとらえれば、そのような特性を理解すれば、大変安価に、高い能力の人材を採用できることになります。

 

例えば、15年ごろから人手不足が顕著で、パート社員もなかなか確保できないと言われますが、その直前までは、「パート社員には重要な仕事を任せられない」という風潮の会社が多かったため、非常に安価で、驚くようなハイスペックな方を採用できましたし、若手偏重の17年現在では、50代以後の実務能力に長けた方を、以前では考えられないようなサラリーで採用できます。

 

もちろん、これらの方が期待以上に頑張っていただけた場合は、給与増額によって報います。それでも、要件が曖昧なまま、世の中の流れに沿って高い買い物をするより、採用する側、される側に大きなメリットある結果をもたらしてくれることは言うまでもありません。

 

④ 面接では以下の点に留意する

採用する側、採用される側の要件の一致を確認する場が面接ですので、その要件を確認できない人間が出席しても良いことはありません。時間が限られている中で、十分な質問や議論ができないことにもつながりますし、多人数ですと候補者に無用なプレッシャーとなってしまうかもしれません。

 

一方で、インタビュアーが一人では、会話を進めねばなりませんので、候補者の詳細な振る舞いや言動に目を配り切れない場合も少なくありません。特に、一次面接は、二人程度で対応し、会話を進める役割、候補者の対応を細かく観察する役割を予め決めておくとよいと考えます。

 

また、意外な盲点として、給与規則、就業規則など、会社の規則に関して、曖昧な返事をしてしまうことが挙げられます。このような労働管理は、昨今大きな話題となっていることからも候補者の関心が高く、それに対する曖昧な返事は、候補者に、「この企業は規則を軽視しているのではないか? ⇒ ブラックなのではないか?」という不安を与えかねますので、会社として、返答をしっかり準備しておきたいところです。

 

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