売上の変化に気づく

売上の変化に気づく

サンプルデータの「売上高の推移」というワークシートをごらんください。

 

なお、このサンプルデータのモデルとなった企業はサービス業であり、売上に季節変動がなく、前年同月比にはあまり意味がない状況です。(年度末には顧客の予算消化などの理由で駆け込みが入ってくることがあります。) また、BtoBのサービスであるため、一回のサービスの継続期間は3か月程度、また、受注するまでには3から4か月程度の営業期間が必要です。

 

さて、こうして年度を通してみれば売上が落ちていることは明らかですが、「いつその変化に気づけるか」「変化を認めるか」、そのタイミングが重要になります。

 

この企業では、サンプルデータに記載れているさえ以前の年度(FY14)は平均3000万円程度の売上だったようですので、FY15に入り最初は大変好調のようでしたが、8月、9月に最初の売上の落ち込みが見られます。しかし、10月、11月には売上が戻っています。その後、12月、1月と売上が落ちましたが、2月、3月は戻っています。

 

では、実際の経営管理の現場で、どのような判断をすべきか、時系列を追ってみていきます。

 

FY15 8月時点

経営管理の現場では、このFY15の8月の時点での落ち込みを「一過性とする」のか、「市場や顧客、営業プロセスなどに何らかの変化が起こっているのではないか、として調査すべき」とするのか、判断を迫られます。

 

しかし、現実的にこの時点で調査の判断をすることはなかなか難しいと思われます。
中小企業、中堅企業では人手が不足しているため、ルーチン業務外の調査となると現場にかなりの負担がかかります。また、「7月まで実施していた大きな仕事が一段落したため、相対的に8月の落ち込みが大きい」だけで、実際の売上もFY14に比べ、さほど大きく落ちているわけでもありません。

 

つまり、この時点では、まだ、「数値の変化に気づいても、社内外に何か変わったことがおきた、変化があったまでは認めにくい」状況です。
これは決して悪いことではありません。現場では、経営管理といえど、限られた経営資源をどこに割り振るかを考えながら動きます。手が空いている人間がいれば調査してもらえばいいのですが、そうでなければ、「積極的に調査を見送る」ことも立派な戦略です。
(⇒ 10月には売上が戻っていますのでこの戦略は短期的には“当り“でした。)

 

しかし、その一方で、念のため、売上だけでなく受注や営業活動状況などの情報収集を開始しておくなどの対策を開始したほうが良いでしょう。

 

FY15 12月時点

しかし、その後の12月に売上が過去最低の2500万となってしまいました。
経営管理では、この時点で、「何か重大な事象が発生している」として、変化を認める必要があります

 

私は、経験上、

  • 過去の最低値(或いは最高値)を更新した場合
  • 一過性と判断した事象が再現した場合

のいずれかが発生した場合には、その時点で潔く「変化を認める」べきと考えています。

 

「変化を認める」ことができないと、情報の理解も対策も打つことも始まりませんので、自分なりに「変化を認める」クライテリアを設けておくことをお勧めします。

 

なお、このような段階でよく目にするのは、「営業が大丈夫と言っています」と、いう情報です。経営層も「営業がどういっているのか?」という場合も多いかと思われます。

 

確かに営業からの情報は必要ですし尊重すべきですが、売上の減少が、顧客のし好の変化や思いもよらない競合の出現となれば、営業だけで気づいたり、解決できるわけもないので、経営管理としても、営業とは異なった観点から、しっかり状況を理解する必要があります。

 

FY15 3月時点

実は、この会社は、12月の時点でも変化を認めず、「一過性」ととらえ課題を先送りしました。一方で、このままでは、FY15年度の予算が達成できないと考え、本来は来年度の売上とすべき金額を年度末に売り上げることにしたのです。

 

そのおかげでFY15は売上予算を達成しましたが、その代償は大きく、FY16 4月から6月は惨憺なる結果となりました。

 

さらに、4月から6月の売上の減少という「変化」は、「FY15に売上を先上げしたことによる」ということで”解決”され、既に前年度となってしまったFY15において発生した売上の変化が忘れられてしまいました。

 

「変化」を認めることなく先送りしているうちに、「変化した結果」が定常となってしまったわけです。
ここまで来てしまうと、従前の状況に戻すことは非常に難しくなってしまいます。

 

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