経営管理指標の設計

経営管理指標の設計

経営管理指標作成の意義

 

前節まで、「企業内の業務を改善するには」と銘打ってAsIsの可視化からToBeの財務シミュレーションまでを作成してきました。ここまでのステップでいわゆる「事業計画」が作成できたことになります。
後は、財務シミュレーションでアップサイドとして作成した”目標”に向かって実行あるのみ、ではあるのですが、この目標を現場に”丸投げ”では、目標の達成可能性を期中に把握できない=目標の未達に対し対策が打てないことになってしまいます。

 

一般に、経営者や経営管理者は株主からの出資や金融機関からの融資によって事業を行っています。そして、その出資や融資には明示的か否かの違いはあるにせよ、必ず、期待収益が求められます。そして、経営者や経営管理者は常に、この期待収益を彼らに還元する責任を負っています。もし、企業が、出資時や融資時に提示した目標に大きく未達となってしまった場合、企業は資金の再調達の途を閉ざされ存亡の危機を迎えます。

 

このため、経営者や経営管理者は、目標の未達の可能性が高まれば様々な対策を”期中に”講じる必要があり、そのために継続的に状況を把握する必要があります。
このため、経営管理指標とは、企業の目標を頂点として、それと高い相関を持った(=その指標がよければ、目標も達成できる可能性が高い)様々な現場活動の指標群です。

 

また、経営管理指標を示すことは、経営者の現場業務の進むべき方向性を示すことであり、その指標の目標値は現場のベンチマークとなり、パフォーマンスの評価指標となります。これは、現場の迷いをなくし、モチベーションを高める強い原動力となります。

 

経営指標の分類

 

世の中には様々な経営管理指標に関する書物がございますが、私はそれらを参考に以下のように「経営指標」
を以下のように分類しています。

 

 

経営指標は、大きく 主に経営の巧拙を直接表示する「戦略指標」と、現場活動の状況を示す「活動指標」に分類されています。(上表 縦軸)

 

そのうち、「活動指標」は、活動そのものの状況を示す「事前指標」と、活動の結果を示す「結果指標」に分類されます。(上表 横軸)

 

これらの経営指標は、それを利用する目的や組織、管理者によって無数に作成できます。しかし、一方で、経営指標が多くなれば、その指標値を算定する手間も格段に増えますし、無数の指標からクリスマスツリーのようにアラートが発せられても対応することは難しくなってしまいます。

 

経営管理指標の作成

 

経営管理指標を作成することは、下図のように、様々な経営指標から、企業の目標となる戦略指標に高い相関をもつ可能性があるものを抽出し、そのつながりを明確にしておくことに他なりません。
これは、結局、もっとも確からしい経営シナリオ、もっと明確に言えば、「経営層から現場へこうしてほしいというメッセージ」と「結果として期待する値」を明らかにしておくことでもあります。

 

 

 

最も確からしいシナリオですから、その作成には、事業に関する知識と経験が不可欠です。しかし、どんなに事前に知識と経験があっても、必ずそのシナリオが正しいとは限りません。

 

しかし、いったん作成した経営管理指標に沿って、企業の全てが回り始めているわけです。これを踏まえると、シナリオの作成=経営管理指標体系の作成は、経営者及び経営管理者は心血を注いで作成するべきものであり、もし自分たちのメッセージや仮定が誤っていたと気づいた場合には、企業の現在の状況を踏まえ、無理なく、しかし迅速に方向転換する必要があります。

 

経営管理指標の変更は、現場にとって大変なストレスであることを強く認識すべきかと思われます。

 

経営管理指標の具体的な例

 

それでは、各ステップの具体的な方策(AsIsの可視化)以後、例として挙げてきた計測機器メーカーの経営管理指標を次に示します。
このメーカーの売上高及び営業利益を増加させることが目的でしたので、戦略指標は、

 

  • 売上高成長率
  • 売上高営業利益率

と設定します。

 

次に、これまでの「AsIsの可視化」から「財務シミュレーション」 までで検討してきた様々なシナリオを再度確認し、そのシナリオを実現する活動とそれに伴う事前指標、その活動の結果指標を明確にし、その因果関係を整理します。その結果を以下の図に示します。

 

 

 

巷の参考書に比べれば、ずいぶんとすっきりした印象ではないかと思われます。
しかし、現実にこのような指標作成やモニタリングを業務として実施された方であれば、この活動指標を継続的に把握することは、それがたった6つであるとしても大変な作業であることがお分かりいただけるのではないでしょうか?これが、高価なERPなどのシステムがない中堅企業であればなおさらです。

 

私のこれまでの経験では、この程度の指標があれば企業を十分に「運転」することができます。この指標で不足するのであれば、不足した際に追加すればよいと思われます。

 

最後に・・・よく、売上100億円という目標を、各部門に20億づつ割り振って、さらにそれを各社員のノルマとして1億づつ割り振った「経営指標もどき」を目にしますが、これは経営管理指標ではありません。
その”1億円の目標”の未達は期中で締めない限りわからない”結果”でしかありませんし、また、1億達成するために何をすればよいか、経営者からは、なんのメッセージも現場に伝わらないですから。

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